ラストゲーム①《インハイ県予選最終日》
インハイ県予選も終盤。
ベスト4が出揃い、各チーム最後の戦いが始まりました✨
私たちコザ高校は
決勝リーグ初戦、首里高校と対戦しました。
首里高校は
初戦で第1シードの名護高校を破って
勝ち上がってきたチームです!
今年から外部コーチに
オリンピックにも出場した
熊田康則(くまだ・やすのり)さんが加わり
一層強くなっていました。
コザ高校は、
今年の公式戦、首里高校に対して
一度も勝利したことがありません。
“最後に勝ちにいく!”
選手はそう意気込んで、
試合に臨みました。
しかし、試合を終始有利に進めたのは
首里高校でした。
コザ高校はサーブミスが多く、
なかなかブレイクをすることができませんでした。
一方で首里高校は
要所で良いサーブが入り、
得点を重ねていきました。
結果的に、自分たちのペースに持ち込むことができず、
セットカウント 0-2 で敗戦しました。
この敗戦は、
選手のミスではなく、
私たち指導者のミスだったと思います。
なぜなら、
選手たちに対して、
ベストな声かけができていなかったです。
首里高校との対戦は、
那覇高校とベスト4をかけて戦ったすぐ後でした。
多分、ベスト4に入れた嬉しさと安堵感で
チーム全体が少し緩んでしまったのです。
それを察知して、
再びチームを締める声かけを
私はしてあげるべきでした。
しかし、私はそれができませんでした。
その結果、
チームはどこかゆるい感じで
試合に挑んでしまい、
なかなか自分たちのペースを取り戻せず
あっけなく負けてしまったと思います。
さらに、
私は別の仕事の関係で
職場に戻らなくてはならなかったため
首里高校戦を見ることができませんでした。
選手の異変に気付いてあげることが
私にはできなかったのです。
これは完全に私のミスです。
選手たちを勝たせてあげることが
私の役割です。
それができなかった責任は大きかったです。
首里高校との敗戦の翌日。
私たちにはまだ大事な戦いが残っていました。
第2シードの西原高校と
第3シードの小禄高校との対戦です。
西原高校、小禄高校との過去の対戦でも
私たちは負けが続いていました。
ー なんとかこの2チームに勝利し、
全国大会への望みをつなげたい! ー
最初の対戦は、小禄高校とでした。
今までは、相手の弱点や
攻撃のパターンなどを選手に伝えていましたが、
今回はあえてそれを伝えず、
選手の気持ちに対しての声かけを心がけました。
“この試合は、他の誰のものでもない、
あなた達の試合。
自分達がしたいように試合をしなさい。”
コザ高校の選手たちは
とてもお利口でいい子達です。
ですが、いい子過ぎて、他人の言うことを優先してしまいがちでした。
そうやってプレーしている選手たちは
どこか伸び伸びとプレーしていないように
私は見えました。
「これをしたら怒られる」
とか、
「言われたことをしないと怒られる」
といった思考になりやすかったのです。
もちろんこれは
今までに選手たちに関わってきた指導者が
自然とそう言う思考になってしまうように
意識づけてしまっていたということです。
ですが、、、
実際に試合をするのは、選手たちです。
私たち指導者がコートに立って
プレーをするわけではありません。
私たちは
点を取る方法や、
ピンチでタイムアウトをとって、
助け舟を出すことはできます。
ですが、
それを活かして
実際にプレーをするのは選手たちですし、
そもそも、このインターハイは
彼女たちのインターハイです。
私たち指導者中心のインターハイではないのです。
選手たちが
伸び伸びと、自信をもったプレーをすることが
一番大切だと私は思い、
声かけをしました。
第1セット。
小禄高校にリードされる展開が続きました。
相手の攻撃に対応できず、
なかなか流れを掴むことができませんでした。
しかし、試合中盤、
流れを掴むきっかけとなるプレーがありました。
それは、ずっと後衛からチームを支えていた
リベロの選手のプレーでした。
相手エースが打つスパイクに
何度も食らいつき、拾ってみせたのです。
今までは追いつきもしなかった
ワンタッチボールや、
ブロックの上から打たれるボールに対しても
完璧に合わせて拾ってみせました。
直接得点には関わらない
レシーブ専門のリベロのプレーが
相手に傾きかけた流れを
こちらに引き寄せるきっかけになったのです。
ここから波に乗ったコザ高校は
途中出場の選手のサーブで追いつき、
第1セットを取りました。
第2セット目、
出だしから流れを掴んだコザ高校は
中盤まで自分たちのペースを乱すことなく
有利に試合を進めていました。
しかし、試合も終盤にさしかかったとき、
チームの異変を感じました。
プレー1つひとつにゆるさが見え始め
雑なプレーが増えてきました。
完全に、集中力が切れてしまっていました。
勝利が見えた瞬間に、
完全に油断してしまったのです。
しかし、それにベンチスタッフも、
選手も気づきません。
私はベンチには入れないので
もどかしさを感じながらも
見守るしかできませんでした。
“自分たちでもう一度締め直してくれ”
と思う私の気持ちとは裏腹に
最大7点あった点差を一気にひっくり返され
第2セットを落としてしまいました。
第3セット。
ここまできたら、
私にできることはもうありませんでした。
あとは選手がいかに切り替えて
立て直してくれるか。
それを願うしか私にはできません。
選手を信じて、見守っていました。
一方、選手たちは
ちゃんと私の教えを覚えていてくれました。
一人一人、ちゃんとリセットして
第3セットに臨んでいました。
そのことは、遠くから見ても
すぐにわかりました。
集中力が戻っている。
これなら問題ない。大丈夫だ。
そう思った私の勘に、間違いはありませんでした。
選手全員が
今日一番のプレーをし、
第3セット目を勝ち取りました。
今まで一度も公式戦で勝てなかった小禄高校に
最後の大会で勝利することができました。
選手全員の顔には最高の笑顔。
私たちが今までやってきたことが
間違いではなかったと証明できた試合でした。
ラストゲーム②へつづく・・・
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